切なさの距離~友達以上、恋人未満~
『いつもの公園で。
今から家出るね』
すぐに返って来た返信。
俺は携帯と財布をポケットに突っ込むと家を飛び出した。
10月下旬。
少し肌寒いが過ごしやすい時期で。
公園は思いのほか、賑わっていた。
空いているベンチを見つけ、腰を下ろす。
目の前を小さな男の子と女の子が通り過ぎて行く。
俺にもあんな時代があったんだよなぁ。
悩みなんてなくて。
ただ笑って。
無邪気にはしゃいで。
毎日が楽しくて。
そんな時代の記憶なんてこれっぽっちも覚えていないけど、
なんとなく、気持ちだけは覚えている。
それに比べて今は…
イヤなことばっかりで。
悩み事は尽きないし。
楽しいことはイヤなことより少なくて。
そんな毎日がどうしようもなくキライで。
逃げ出したい。
そう思ったことが何度あっただろう。