切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「………湯川!」
ぼーっとしながらそんなことを考えていたら日向が目の前に現れた。
「早かったじゃん」
「ま、ランニングがてら走ってきたし」
そう言った日向の格好はジャージだった。
「とりあえず歩くか。
じっとしてんのはちょっと寒い」
俺は立ち上がり、夏休みにほぼ毎日走っていたコースを日向と歩き出す。
「ね。聞いた?」
「何を?」
日向にそう聞き返すと満面の笑みのコイツ。
「アキと夢大、ヨリ戻したって」
「よかったじゃん」
まあなんとなくは分かってたけど。
俺があれだけすればそうもなるだろう。
増川がアキを好きだっていうのは知ってたし
アキがまだ増川を好きだっていうのもなんとなく分かってたし。
「アキ、ホントに嬉しそうだったなぁ…」
日向はそう呟くと空を仰ぐ。
日が落ちかけ、空がオレンジ色に染められていた。