切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「ねぇ…何?この人だかり」
なぜかうちの教室の前には大量の人。
人の間から教室の中を覗く。
「あ…あの人」
教室の隅のほう。
周りとは少し違うオーラを放っている男の子を発見。
たぶん、あたしの前の席であろうあの場所。
ってことは…あの人が『湯川貴斗』…?
「ねぇ、どうしたの?」
近くにいた友達に話しかける。
「あの人、いるでしょ?
今年転入してきたんだって!」
転入生…?
3年になって?
まあでも家の事情でやむを得ず、ってことなんだろうけど。
続々とやってくる生徒たち。
「え?!めっちゃカッコよくない?!
ウワサ以上なんだけどっ!!」
そんな声が聞こえる。
確かに、横顔しか見えないけどキレイに整った顔をしてると思う。
「日向?何ぼーっとしてんの?」
アキに言われ我に返る。
そして人を押しのけ、教室に入った。