切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「湯川!」
長距離のメンツがそれぞれ学校を出て行ったのを黙って見送る俺。
ついて行けばいいんだろうけど、一応様子見。
と、そこへ俺を呼ぶ声。
「…………ん?」
振り向くと日向がいて。
「多分、アイツについて行くよりあたしについて来たほうがいいと思うから、一緒に走ろ!」
はっ?
アイツって誰だよ、アイツって。
「長距離男子の代表、皆川 榮太(ミナガワ エイタ)」
日向は俺の心の中を読んだのか、ぶっきらぼうにそう言った。
「皆川榮太っていうのがアイツ?」
俺たちの後方にいる白いTシャツを着た男を指さす。
そう、と答えた日向は走り出した。
俺は慌てて追いかける。
「アイツ、全然部活来ないの。
でも3年はアイツしかいないから仕方なく代表。」
「なんかやけに皆川のこと嫌いそうだな」
思ったことをそのまま口に出した。
そうすると日向は大きな溜め息をつき、言う。
「しつこいのよ、アイツ。
俺と付き合おう、って。」