切なさの距離~友達以上、恋人未満~
でも、グラウンドに湯川の姿はなくて。
もしかして…裏庭?
そう思い、鞄を持ち直し、また走る。
そう言えばなんであたし…走ってるんだろ。
ふと、そんなことを思った。
でも足を止めることなく走り続ける。
「ゆかわー!!」
裏庭に行くとキョロキョロと当たりを見回す挙動不審の人を発見。
まあ後ろ姿で湯川だってすぐに分かったけどね。
「あ、日向」
振り向いた湯川はさっきと何も変わらなくて。
「ちょっと挙動不審すぎるよ。」
そう言うと
「そーかぁ?」
なんて間抜けな声で返された。
「ってかお前、帰ったんじゃなかった?」
「あ…いや…」
湯川を捜しに来た、なんて恥ずかしくて言えなくて。
とりあえず笑って誤魔化した。