切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「…もしもし」
『どうしたの?貴斗。
貴斗から電話なんて珍しいね』
それを言われ、俺は苦笑い。
確かに普段、俺から電話をかけることなんてないもんな。
「いや、裕実の声が聞きたくなって」
『やめてよ~恥ずかしいじゃん』
裕実が顔を赤くして照れているのが容易く想像できた。
「どう?新しいクラスには慣れたか?」
俺が引っ越ししてから初めての裕実との電話。
LINEばっかりだしな、基本。
『まあまあだよ』
裕実はふっと笑った。
『貴斗は?どう?学校、楽しい?』
「俺もまあまあかな」
そう言って2人で笑う。
日向。
やっぱり…遠距離、辛いわ。
だって俺、今無性に裕実に会いたいんだ。
でも、会えない。
初めて、3駅分の距離の辛さに気づいた。