切なさの距離~友達以上、恋人未満~
『ひろみ』
音楽室の前の廊下の壁にもたれかかる裕実を見つけて手を挙げる。
『…貴斗』
深刻そうな裕実の顔。
胸がドキドキと高鳴る。
『あたしね、ここからの眺めが好きなんだ』
裕実は俺が横に来たのを確認すると、廊下の窓を開け、言った。
『どうして?』
『なんか…キモチが和むんだよね』
裕実と同じ方に顔を向けた。
遠くには町並みが広がり、
近くにはグラウンドが広がっている。
たくさんの人がいて。
裕実の言っていたことが少しだけ、分かった気がする。