切なさの距離~友達以上、恋人未満~
『あたし…ね』
『うん』
窓から俺に視線が移される。
『ずっと…ね』
『うん』
焦れったくて。
いつもの俺なら早く言えよ、って急かしていたかもしれない。
でもなぜかそんなことを言う気分にはならなくて。
心地良い間だった。
『貴斗のこと、好きなんだ』
『………うん』
なんて言えばいいのか分からなくてとりあえずうん、とだけ答える。
『だから、付き合ってほしいの』
『……いいよ』
そう俺が言った瞬間、裕実の顔がパァと明るくなった。
●○●○
これが、俺と裕実の始まりだった。