切なさの距離~友達以上、恋人未満~





あれから夜ご飯を食べようという裕実の提案にのり、近くのファミレスに入った。



あんなに長い時間裕実と喋るのは久しぶりで。

裕実の笑顔を見るのも久しぶりで。


3ヶ月前まではこうして過ごすことが当たり前だったのに。

そう思うと少し寂しく思えた。



電車で1時間かかるくらい離れているワケじゃない。

かと言って走って会いに行ける距離でもない。


もし俺が成人していたら、こんな距離、屁でもないかもしれない。


でも俺はしょせん、中3。

人より少し長い距離が速く走れるだけの中学生。


やっぱり3駅分の距離は遠いんだ。



「じゃ、またな」


駅の前で裕実と別れる。


駅は帰宅ラッシュなのか来たときよりも混んでいた。




「たかとっ!」


突然、腰に腕が回った。




「………ひろみ?」


裕実が後ろから俺を抱きしめたのだ。

駅のど真ん中。


注目を浴びるかと思ったが、とくに誰も気にしてないようだ。


いや、気にしてないように見せかけているだけできっと



『なんだ?コイツらは。』

と、でも思っているんだろう。








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