お預け中?
薄暗い店内。

一番奥のBOX席に座った俺たち。

死角になって目立たないと思う。

芸能人が利用する店なら、店員は口が堅いハズ。

「では、私もお付き合いします」

そう言うとソフトドリンクメニューを開き

「お願いします」

小さく手を挙げ、小声で注文の合図をした。

「アイスウーロン茶を二つ」

彼女が言うと、店員は俺の顔をチラッと見ただけで「かしこまりました」と言ってすぐに下がった。

冷えた背の高いグラスが二つ運ばれて来るまで俺たちは無言。

彼女も何か考え事をしているのか、視線はある一点を見つめているだけで口を開かなかった。
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