お預け中?
女の子達に手を振り笑顔も振りまきながら局へ入ろうとすると、見覚えある顔が視界の隅にはいった。

「!?」

その存在を確認しようと立ち止ると、どうしようもないくらい会いたいと願っていた彼女が、スーツ姿で立っていた。

女の子達の集団から一人離れ、遠くからじっと俺を見ている。

サングラス越しではっきりした表情は分からないけど、笑顔は無い。

サングラスを外しもう一度表情を確認する。

視界がクリアになると、眉毛を下げて何か物言いたげな彼女の顔がはっきりと見えた。

サングラスを外した事で沸き起こる、悲鳴にも近い女の子達の歓声が聞こえてくるけど、その声を無視して彼女に駆け寄りたい衝動にかられる。

しかし、そんな事は出来ず自動ドアが開き、立ち止った俺は中へ入る様、促された。

内心舌打ちしながら前へ進む。

局へ入るとすぐにジーンズのポケットに入っていた携帯を取り出し、彼女へ電話をかけた。

俺に会いに来てくれるなんて珍しいね!どうしたの?

俺に会いたかったの?

会いたかったよ!

何て言おうか呼び出し音が鳴っている間ワクワクしながら考えてた。

最初一番に何を言おうかな?



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