お預け中?
彼女のアパートは静かな住宅街の一角にあり、古くも真新しくもないこじんまりとした建物だ。

その一階の一番端に部屋はある。

ちょうど目隠しになる背の低い木が植わっていて、俺の姿を通り道から隠してくれそうだ。

とりあえずピンポンしなくちゃ。

部屋の明かりは玄関側から見えない。

もしかして居ないのかもしれない・・・。

俺は一度大きく深呼吸をしてから、人差し指でドアホンを静かに押した。

「ピンポーン」

部屋の中からドアホンの音が聞こえる。

しかし、数秒待ったけど出てくる気配がない。

「はあ・・・」

ポケットから携帯を取り出し、時間を確認した。


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