お預け中?
小さなトレイにグラスを二つ置き、ガムシロとロングスプーンを乗せた。

トレイを持って体ごとこちらに向くから、じっと彼女を見つめていた俺とバチっと目が合う。

彼女は顔を真っ赤にさせうつむいた。

「座って・・・」

連絡を取り合っていた頃の明るい声と違って、とても弱々しい声。

「う・・・うん・・・」

うなづき小さなテーブルの前に腰をおろした。

思わず正座をしてしまう。

テーブルにトレイを置き、グラスを俺に差し出す。

そして、彼女は俺の向かい側に座った。

「突然でびっくりしちゃった」

まだ目は合わせてくれない。

手を添えたグラスを見つめているだけ。
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