恋 文
 


 君をその衝動へと駆り立てたのは
 命を懸けても欲したものは
 魂の解放と云う絶望の果ての自由で


 苦悩に足掻いた日々を思えば、
 君の最期を否定する事など
 この世の誰に出来ようか?


 けれども――

 やはり、私は君に会いたかった。
 生きている君に会いたかった。


 君の言葉を聞きたかった。
 君の絶望の叫びを聞かせて欲しかった。

 君に絶望を叫ばせてあげたかった。



 この声は 今 眠る君に届くだろうか?

 愛する母の狂乱の嗚咽に紛れ 掻き消されただろうか?





 静寂の世界へと旅立った
 見も知らぬ、大切な君へ――










(2010.12.22)












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