____苺の季節____
まっすぐ見ないで。

凄く戸惑うよ。




困ってるとアイツは笑った。


太陽みたいに、ただ、優しく。


一瞬、ドキッとしたよ。


でも、慌てて、その想いを掻き消した。



あたし、しっかりしなさいよ。


訳が分からなくなって、とっさに俯く。




この小さなドキドキどうにかしてよ。


もう、島ちゃん助けて。


チラッとF組の列の中、姿を探せば、黒髪にくっきり天使の輪を輝かせた島ちゃんが、丁度あたしを見ていてにんまり笑う。


そして、両手でハートを型どって、ちょっぴり斜めに傾けながら前に出した。


終いには「良かったね」と小声で言ってる口の動き。



え?

いやいや、そうじゃなくてよ?

島谷 洋子ちゃん?

勘違いしてる……、よね。


違うんだってば。

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