____苺の季節____
次の日曜日。


今日は晴天、最高のパレード日和。


兵隊みたいな筒型のバケツ帽、てっぺんで揺れる羽、憧れのユニフォーム。



何だかとても緊張するよ。


「おい、星!硬いって、もっと笑えよ」


応援に来たOBの村井先輩が言う。


メジャー(先頭で指揮をする人)の彰先輩も苦笑い。


「杏、お前、どうした、緊張し過ぎだろ」



笑って誤魔化すしかなかった。



でも、いざ、パレードがスタートすれば平常心が戻り、リズム感溢れるドラムマーチ、ドラムサインも心地好かった。



全てが最高に思った。


夏の太陽は容赦なく照りつける。


背や額を伝う汗。


歩く歩幅とベルの高さをキープしながら、皆と奏でる夏の歌。


ローリング(※マーチングの歩き方で、踵から地面に付け、爪先で抜ける、1本の線の上を歩く、足の裏がローラーのように回転していく事から名付けられた方法)をしながら、感じるアソファルトの硬さ。


「杏奈!」


聞き覚えのある声。



見るとママと太郎ちゃん、
島ちゃんに、詩織ちゃん達も。


見に来てくれたの?


演奏しながら喜びの合図をする。


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