____苺の季節____
ピィッ、ピーッ!


応援するような口笛。


「カッコイイ~」


そんな声も聞こえる。


1曲終わると嵐のような拍手。


でも、あと2曲、続ける。

曲の合間、マウスピース(※楽器の口の部分)から、少し隙間を開け、ハー、ハーと呼吸を整える。


周りの仲間達の呼吸も分かる。


そして、すぐに次の音を出せるようにマウスピースに唇を当て形を保つ。(※唇の開け方で音階が変わる)

2曲目も、確実に演技と演奏をこなす。


そして、3曲目に入る時、大勢の観客の中に、鳴海とお母さんを見つけた。


鳴海がきちんとお母さんを支えてた。


強い陽射しを考慮して、大きな日傘をさしてあげてる。


ふたりの眼差しは暖かくあたしを捉えてた。



3曲目のタイトルは「 STILL 」


まだ~、続く……。そういった意味のあるタイトルで、


緩やかなバラード。切なく壮大なメロディーとハーモニーが心を打つから、あたしの1番好きな曲。


クライマックスには熱いものが込み上げて来る感覚さえするんだ。



切ない曲にのせる想い、


仲間と乗り越えてきた事、
想う人への愛しさや、

様々な心も全てを含めて、
命を願う。


命よ続け、ずっと続いて……。



色々な想いをブレスに込める。



あたしが心から響かせ鳴らす音色……。



届いていますか?



仲間達とあたしが、生きる呼吸を音色にかえ、込める想い……。




どうか、届きますように。

どうか、届きますように。




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