____苺の季節____
クラス委員?生徒会?

陸上?

春休みに練習参加してたの?

入学も入部もまだなのに?


盗み聞きしたみたいで後ろめたかったけど、

聞こえたんだもん……、仕方ないじゃん。

なんて言い訳しながら、悟られないように、ゆっくり方向変換して、体育館の出口を目指した。


「杏奈、待って!」


アイツの声。


しかも、いきなりの呼び捨て。


「え……、なぁに?」


あたしは立ち止まり、振り返る。


「そんな冷たい言い方しなくても~」


甘い声を出しながら、くねくねと肩を揺するアイツ。


苛立ち、じっと見返した。

次の瞬間、アイツはにっこり笑い、パッとあたしの目の前に来た。


あれ?速…い。


ある程度距離があったはずなのに。


「驚いた?目、丸くしちゃって……、俺、鍛えてるんだぜ、アスリートだからね」

やんちゃな顔して、太もも辺りをパシッと叩いた。





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