____苺の季節____
え……?


ずっとお母さん達みたいに?


「目、まん丸だぜ、お前って……、わ、涙」


だって、胸がじんとしたから。


必死に溢さないよう我慢してるんだよ。一粒溢したらきっと止まんないもん。



「言うの早すぎ……、フライング…だよな、ごめん、俺さ、タイミングとか良くわかってねえの…、ただ、言っとかねーと後悔しそうで」


軽く笑ってあたしの頭にポン…と手を置く。


「ねぇ?なん…か、プロ…ポーズ…みたいに聞こえるまさかのまさか…でしょ」


おどけながらやっと出た小さい声。


鳴海が目を細める。その柔らかい笑顔が答えだと思った。


波のせせらぎも、夕日も似合いすぎる笑顔を見てたら一生懸命に止めてた涙も一気にこぼれてきた。


鳴海はふわりとあたしを包む。

あったかい胸の中、ポロポロポロポロ涙が止まらなかった。


あたし、ホントはそういう事、まだわかんない。


見えない未来のもっと向こうの事だもん。


でも、うんと遠く見えない先でも『あたしと一緒にいたい』そう言ってくれた事が嬉しくて、嬉しくて幸せだったんだ。

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