____苺の季節____
「ああ、嬉しい事」


「何がそんなに嬉しいの?」


不思議に思って聞いた。


「あのさ、言って良いの?

これ、ホントの話だから!

嬉しい事って、


杏奈に会えた事、


まぁ、一目惚れ!


聞き流してくれて良いよ、

でも、これ、マジな話だから」



顔を上げたアイツの瞳は真剣。



もう、全く何を言い出すの?


ゴーイング、マイウェイ。

変なヤツ。


さっきまで、ぐるぐるしてた感情が何処かに吹き飛んだ気がした。


何だか、笑いが込み上げる。

クスクス笑っちゃう。


「え?何、笑ってんの?」


そう聞かれても上手く答える自信がないよ。


何だか胸の奥がくすぐったいんだ。


「あたしを追い掛けて来てくれたの?」


「へ? あ……、そりゃ、

追いかけるでしょ、

大事な女の子を泣かせて、放っておくバカはいないよ」
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