____苺の季節____
青春って、真っ只中にいる時は素晴らしさに気付かないのよ…。

ママも言ってた。

こうやって過ごした日々を青春だったと振り返る時が来るのかな。

あたしは刻々と過ぎる時間を音楽に費やし、心に何かを刻もうとする。

一緒に居たい誰かの温もりを、そしてその人のかけがえのない母親の笑みを胸に包んで。


曲調の変化が時を知らせる。


あたしは里ちゃんと西村先輩と同時に構えた。


アンプッシャー【マウスピースに当てる口の形】を整えて、旋律を唄い始める。

音色という言葉で確かめ合うんだ。


心をひとつにして楽曲を表現しながら、響くものに心が洗われる。


作曲家が込めた想いやテーマ、物語。感情豊かに演奏したい。

まだ若いあたし達なりに解釈して音にしてるけど、聴く人達に何かを伝えられるかな。



< 168 / 180 >

この作品をシェア

pagetop