____苺の季節____
今まで見た女の子の中で、1、2を争う美しさだよ。
島ちゃんとも良い勝負だね。

睫毛なんかすっごく長いし、パッチリすぎる大きな目。


「詩織ちゃん、凄い可愛いね……!

美少女コンテストに出たら優勝するんじゃない?

芸能人以上だよね」


あたし、思わずこんな事言っちゃった。


「あははっ、星さん……、えっと、杏奈ちゃんでいい?
なんだか、面白い」


笑顔も薔薇が咲いたみたいに、ふわーっと綺麗。


「あ、ありがとう…」


面白いと言われて照れるあたしって、どうかしてる……。


「私、杏奈ちゃんの事を見て、仲良くなれるって、気が合うだろうなって思ってたよ」


「あ、あたしも―!」



色々な中学校から生徒達が集まる高校生活。


見ず知らずの顔が並ぶ教室の中を見渡せば、あちらこちらで、はじめましての笑顔が咲いてる。


はぁ、窓から、新鮮な春風が吹き込んで気持ちが良い。

春の陽射しも皆の笑顔を優しく照してるね。


教室の後ろの方は……、とくるりと不意に振りかえると、

ロッカーに寄りかかり、あたしの事を見てる鳴海がいた。


やっぱり、ドキッとしちゃう。


(ん?なーに?)


ジェスチャーで話しかけてみたけど、ふっと笑って手を振るだけの鳴海。


じっと見てると、ニヤニヤして、


「あんまりこっち見んじゃねーって」


そんな事を言うから、


「だって、鳴海が見てたんでしょ?バーカ!」


「イーッ」と、思いっきり唇を横に引いて見せてやる。

それもニコニコして見てるから、


もう知~らないっと、ぷんと前に向き直った。


鳴海って、やっぱり変なヤツ。



そんなやり取りしていたら、隣の席の男の子が、トントン……、とあたしの肩を叩いて言った。


「ねぇ、星さん、もしかして、アイツと……、もう、付き合ってんの?」


「え?まさか!

付き合ってるわけないよ」

慌てて否定する。


「へぇ、そっか良かった、じゃあ、まだ俺にも頑張る余地があるって事だよね?」


「は……?えっ、何が」



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