____苺の季節____
「杏奈!終わった?」



教室のドアの辺り、体を半分だけ入れて、あたしに声を掛ける島ちゃん。



「あ、島ちゃん!」



たった数時間離れていただけなのに、恋しく思う、この友への心。


「みんな、島ちゃん、F組の島谷 洋子ちゃんだよ、あたしの仲良しさん……」

G組の友達に紹介する。


「綺麗な子ねー」


みんな声を揃えて言うから、島ちゃんは困って照れ笑い。


「うちの娘がお世話になります、どうぞ宜しくお願いしますね」


ちょっぴり、ふざけながらあたしの事を、みんなに頼んだ。


それが、可笑しくて、みんなはどっと笑う。


ありがとう、島ちゃん。

やっぱり大好き。

大好きだよ。



綺麗に光る島ちゃんの天使の輪と笑顔、

そして、詩織ちゃん達の輝く瞳。



春の出会いがくれた宝物だなぁって、

あったかい、嬉しい気持ちで、ずっとずっと、眺めていた。



< 27 / 180 >

この作品をシェア

pagetop