____苺の季節____
「進藤君! ねぇ、進藤君てば、

百合ね、

陸上部のマネージャーになりたいって先生に言ってきた」


話していた矢先、目の当たりにした場面。

あたしの胸にズキッと痛みが走った。



鳴海の腕にしがみついて、ゆさゆさ揺すり、甘えるように話す女の子。


確か…、えっと。


「C組の、杉本 百合(すぎもと ゆり)ちゃんだよ」


詩織ちゃんが、あたしに耳打ちした。


百合ちゃんか。


スラッと背の高いモデルみたいな子。


しなやかな薄茶色の髪が、腰の辺りまで艶々と伸び、まるでバービー人形みたいで可愛いらしいと思った。


男なら、百合ちゃんみたいな子が良いに決まってる。

きっと、

鳴海だって……、そうだよ。





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