____苺の季節____
村井先輩の指揮は、確かに凄腕だった。


音楽は指揮者の「さじ」次第で変わると聞いた事があるけど正しくその通り。


操られているかのように、皆が引っ張られ、奏者がそれぞれ、力を最大限に伸ばされている、みたいな感覚がした。


タクトの取り方も、楽曲上、表現しやすい。


力のこもった眼差しも、プロの気迫がみなぎる。


合奏が終わり、フリータイムになった時、村井先輩は席を外した。


あたしは、西村先輩に「謝って来ます」そう言い残し、急いで追い掛けた。



< 61 / 180 >

この作品をシェア

pagetop