____苺の季節____
「…ったく、しゃーねー野郎だな、陽平の馬鹿が」


ぶつくさ文句を言ってる鳴海。


「ねぇ…、鳴海?」

「あ?」

「ありがと」

「おう、ってかお前スキありすぎだろうが……、ボケっとするのも程々にしろよ?」

「うん……」


鳴海の白いシャツの裾を握る。


「え?馬鹿、お前、泣いてんのか」

「違う、泣いてなんか…ない」


「嬉しかったんだよ…?

ああやって追い返す為にでも、

その、

あたしを『彼女』って言ってくれたから」


不安な気持ちで別れたままだったから、余計にグッと来ちゃったよ。



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