____苺の季節____
「ねぇ鳴海…?あたし、聞きたい事があるんだ、ふたつ」

キスした後の幸せと照れくさい気持ちを隠すように、こそこそ囁く様に言った。


「…え?ふたつ?なぁに…」
鳴海も小声で返事した。


あたしはニッと笑い鳴海の腕にしがみ付く。


「あのね!ひとつは、さっきの…事、

草島先輩は鳴海の事知ってた…、しかも、怖がってるっていうか、急にあせったりして…、何で?」


「あぁ、アイツは俺と同中でさ、まぁ小学校も一緒だけど、

俺、生徒会長してたって言ったろ?

同時にさ『裏の方の会長』もしてたから…」


「裏?」


「おっかしいだろ…、ウケるよな、

杏奈にはあんまり関係ない世界だろうけど、

結構、色んな奴らいてよ、
頭張って面倒みる奴いねーと荒れる訳よ、

やれ他校がちょっかい出してきただの、

本職と揉めただのって」


「本職?何それ」

「やーサンだよ…、ヤクザ、
族との絡みがある連中もいたからな…、

まぁ…、周りもそんな感じでさ、俺ってケンカ上等、腕っぷしには自信あるからよ、

あっ、ごめん…こんな話して、

まぁ、こう見えて、危ない橋渡って来たっちゅうか、
昔な、むかし、

だから…そんときの事知ってる奴らは警戒すんじゃねぇかな」


「へぇ~、なんとなく想像できるかも」


「え、出来るの!?いや~、やだな、ある意味嫌かも、そんなイメージ悪くない?」


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