____苺の季節____
「杏奈…、そうだよな、

俺、お前を放ったらかしたままだった、

いや、あれは俺が100パー悪い、

すまん、何も言わず学校抜けてた…、

いや、杉本と一緒じゃなかったんだ、

アイツ、追い掛けて行ったらプンプン怒って、目なんかこーんな三角にしてよ、

サイテー!彼女置いてきたの?ってどやされた、

そんで…、また泣いて…、笑って、私は良いから彼女のトコ行ってよって」


そう…だったの?


「学校抜けて何処に?」


「えっと病院……、母さんがさぁ入院してんだ…、もう1年位になるかなぁ、

お前の所、戻ろうとしたら携帯に兄貴から電話来て、

すぐ来いって言うから焦って、テンパってさ、


夜中まで病院にいて…、そんで、今朝ココに来た」


「え?だ、大丈夫なの!?

側にいなくて良いの?

ごめ…ごめんなさい、あたし、自分の気持ちばっか……、

鳴海への想いで一杯になっちゃって、不安で、悲しくて、

だから!だから、鳴海が百合ちゃんとって…、

ごめん」


あたしの頭を撫でて言う。

「いや、良いよ…、いや逆に言ってもらって良かった、

杏奈がそうやって俺を恋しく想ってくれてたって事分かったから」


ズボンのポケットから、携帯を出して、着信を確認する鳴海。



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