優しく宝物
「もぉ…また音楽?耳悪くなるよ!」
そういうと明美のヘットフォンを外した。
音漏れした音楽が流れ続ける。
「あぁ…おはよう。」
明美の性格はサバサバしている。
自覚するぐらい顔や表情で出てしまうのだ。
しかしこの時は笑顔を作る。
美香にだけは本音は知られたくないのだ。

「やっぱ聞こえてないんだ…」
美香は行動からしてかわいい。
声も
顔も
全てにおいて男受けがいいというか。
羨ましいものもある。

「ごめんって」
はははっと笑って見せた。
『作ってる部分もあるだろうな…』
そう思いながらも話を聞く。

一時歩くといつも明美と美香は別れる。
学校は一緒なのに
「じゃぁ学校でね」
明美が作り笑いをしながら手を振った。

そう。
ここの桜の木下で美香は彼と一緒に登校するのだ。

明美が前愛した人
そして

今でも


今でも

好きな人
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