山賊眼鏡餅。
「結局、ウルフ中川さんが合宿に行かなかった理由も聞けませんでしたね」

マックシェイクのバナナ味のストローから唇を離すと、目黒さんは言った。



「不覚でしたねえ」

ナゲットをつまみながら、平田が言った。


深夜のマクドナルドの店内。

不良の高校生に紛れて、私たちは反省会をしていた。


「話の流れ的に持っていきにくかったよね」

私が言うと、二人は同時にポテトをつかみながら、頷いた。


「まあ、僕達なりに、精一杯やりましたよね……あ、ポテト無くなりましたね。買ってきます!」

平田はそう言うと、席を離れた。


Lサイズのポテトを3つ食べ切ったばかりだというのに、すごい食欲だ。



平田は私服に着替えていて、普通のセンスの悪い大学生の服装をしているが、化粧がそのままなので、ちょっと気持ちが悪い。


口紅だけは、油ものを食べているうちに自然に落ちたみたいだ。



それがせめてもの救いかもしれない。



悪そうな高校生の集団が、さっきから、平田を指差して、こそこそ言っている。


たまに写メを撮られているのもわかった。


「ポテト買ってきましたよ。へへへ」

平田が笑顔で大量のポテトをトレイに乗せて戻ってきた。



「わあ。平田先輩、いくつ買ったんですか」

目黒さんが歓声をあげる。


「7個だぜぃ!☆」


「わあ。すごい」


「僕のおごりです!どんどん食べてくださいね」


目黒さんは大喜びで、ポテトをむさぼっている。
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