山賊眼鏡餅。
「ち……く…しょ……う」


小さな声で平田は言った。


それから、リュックの中から自分の携帯電話を取り出すと、すごい勢いで、まわりの若者を撮影しだした。



「撮り返してやる!目には目を、歯には歯を!」


平田が切れた。


悪そうな高校生たちは、殺虫剤をかけられた虫のように、平田の写メ攻撃から逃げていった。


「おまえらだって、写真勝手に撮られたら嫌だろぅ!?この虫けらどもが!!」

平田が調子に乗って叫んでいる。


2分もすると、店員がやってきた。


「他のお客さまのご迷惑になるので、そのような行為はおやめください」

社員風の男の店員に注意されてしまった。



「すいませんでした」

素直に平田は謝った。



「平田先輩って、意外と潔いですね」

目黒さんが言う。

確かに、自分の非を素直に認めて謝る姿は、平田にしては男らしかった。
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