山賊眼鏡餅。
3人で、ぷりぷり怒りながらマクドナルドを出て、渋谷の人混みをかきわけ、電車に乗った。


途中、電車に酔った平田が嘔吐するというアクシデントがあったが、なんとか無事に帰宅した。




駅から自宅までの夜道を一人で歩いていると、急にハジメのことが気になってきた。


合コンに行くと言って、気まずいまま別れてきてしまった。


思えば、ハジメの気持ちも考えずに、悪いことをしてしまったかもしれない。


0時を回っていたが、ハジメに電話をかけてみることにした。


きっと、まだ起きているだろう。

ハジメに、一言謝って、それから、何でも良いから、他愛のないおしゃべりがしたい。


携帯のアドレス帳から、ハジメの名前を検索して、通話ボタンを押す。

数回のコール音の後、ハジメの声が聞こえる……筈だった。




『お客さまのおかけになった番号は、現在、ご都合により使用できなくなっております』




女性のアナウンスが、そう言っていた。


何かの間違いなのかと思ってもう一度かけなおしてみる。

やっぱり、次も同じだ。



携帯料金を滞納しているのだろうか……。

それとも、何かあったのだろうか。


もやもやした気持ちのまま、帰宅した。


ハジメの携帯は、朝になっても繋がらなかった。

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