山賊眼鏡餅。
これでもかと言うくらい茂みの中を進むと、小さな広場に出た。


大きな岩がいくつか転がっていて、男はその上に腰掛けた。




「あのっ、携帯……」


私が言うと、男は、シャツの胸ポケットから、携帯電話を取り出した。

私の携帯電話だ。




「ありがとうございます!」


男は携帯電話を手に持ったまま言った。



「こんな所まで呼び出して、悪かったな……」


「あ……いえ」


「腕、大丈夫?」


「あんまり……」


「湿布とか貼った?」


「何も……」


「見せてみて」



男はそう言うと、私の腕を手に取った。



「腫れてるなあ。湿布貼ってあげるよ。待ってて」



「え」
< 12 / 324 >

この作品をシェア

pagetop