山賊眼鏡餅。

二日間寝込んだ。




「アネキ、おかゆ作ってきた」


橘が、お盆を持って、部屋に入ってきた。



「すまないね」


「元気が出るように、砂肝入れておいたよ」


「すなぎも!?」


「おふくろが、駅前で焼き鳥買ってきたからさ」


「へえ」




変なお粥だったが、弟の気遣いが嬉しかった。




お粥を食べながら、私は、ハジメのことを考えていた。


山に行く約束をすっぽかしてしまった。


連絡先を聞いていないから、メールで謝ることも出来ない。


こんなタイミングで風邪を引いた自分が情けなかった。




結局、山に登れるくらい体調が戻るまでに1週間かかった。




いまさら山に行っても、ハジメには会えないだろう。



そう思いながらも、私は、裏山の登山口に立っていた。
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