山賊眼鏡餅。
「ええと、リスの落し穴事件で、山嵐ノゾミさんを含む17名が落し穴に落ちて、重軽傷を負いましたね」


「そうだね。あたいは重傷だったね。結構痛かったよ。あはは」


「ご、ごめんなさい」


「いや、良いんだよ。まさか怪我するなんて思わなかったんだろ」


「はい!」

なぜか元気な返事をする目黒さんだ。


「それから、僕のところに、金銭を要求する脅迫状が届いたわけだ」

沼袋部長が言う。


「あたいも、それは聞いてるよ。いくら金持ちだからって、たまったもんじゃないね」

山嵐ノゾミが言う。


「それでですね。部長が手紙の要求を無視したところ、真帆先輩と吉川ヨシオ先輩が襲われたんです」


「噂で聞いてるよ。けっこう重傷なんだろ?」


「ヨシオ先輩は、左腕を火傷して、全身殴られて一時は意識不明でした」


殴られたというのは初耳だった。

確か、打撲としか聞いていなかったと思う。


「殴られたの!?」

私が言うと、目黒さんは得意げに言った。


「内緒なんですけど、どうやらそうらしいですよ」


「誰から聞いたの?」


「もちろん平田先輩からです」


「あ。平田君のお母さんの働いてる病院に入院してたんだっけ」


「ええ!そうです」

なんだかうれしそうに目黒さんは言った。

「あ、それで、もう一人の真帆先輩は、左腕を刃物で切られました。縫ったらしいです」

目黒さんは説明を続けた。
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