山賊眼鏡餅。
「事件のあった日は、リス研秘密合宿の最中で、合宿に参加していなかったのは、5名でした」


「オード卵、橋本ミミ、鶴見ミツル、ウルフ中川、あたいの5人だね」


「合コンをセッティングして、男3人に会いました」


「大胆だねえ」


「いえ。そんな。……で、その後、ウルフ中川が行方不明になりました」


「へえ」


「バイトも休むし、実家にも行っていないんです。しかも、ミチコ先輩か山でウルフ中川さんを目撃したんです」


「山?」


「大学の裏山です」

目黒さんはそう言うと、私を見た。


「ミチコ先輩。山に詳しい彼氏は何か言ってましたか!?」


「あ……ごめん。今ケンカしてて……」


それは本当のことだ。


「困りますよ。ミチコ先輩」


「仲直りしたらすぐ聞くから、待っててよ!」


嘘だ。

私は、ハジメと仲直りする気は無い。


もう、戻れない。


「もう。ミチコ先輩、困りますよ」


「ごめんごめん」


「ちょっと待って」

山嵐ノゾミが言う。


「なんですか」


「ウルフが消えたんだったら、犯人は決まりなんじゃない?」

山嵐ノゾミの言うとおりだ。

なぜ、ウルフが犯人の可能性が極めて高いのに、わざわざ、山嵐ノゾミが今頃呼び出されたのだろう。


犯人探しを頑張りたいのだったら、山嵐ノゾミにリス研の人間関係を聞くよりも、ウルフ中川の捜索に力を入れたら良いのではないだろうか。
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