山賊眼鏡餅。
「確かに、ウルフさんが最有力候補でした」

目黒さんが言う。

「ただ、この話にはまだ続きがあるんです」


「おっ。なんだい」


「沼袋部長に、脅迫状が届いたんです」


「どんな脅迫状だい?」


「これだ。目黒君、読んでくれたまえ」


沼袋部長は、くすんだ色の封筒を目黒さんに渡した。
目黒さんは、封筒を受け取り、中から便箋を取り出して広げた。


「読みますよ。ええと……うわっ。読みにくい。全部ひらがなじゃないですか。見てください」


目黒さんは、便箋を机に広げた。

便箋には、パソコンで打った明朝体のひらがなが並んでいる。



ぬまぶくろおまえはじぶんがなにをやっているのかわかっているのかおまえのこうどうはおみとおしだいえもしってるいたいめにあいたくなかったらくいあらためろこれいじょうのことをしたらほんとうにころすもしくはころさないていどにいためつけるなんちゃって



……これは読みにくい。


沼袋、おまえは自分が何をやっているのか解っているのか。

おまえの行動はお見通しだ。

家も知ってる。

痛い目に合いたくなかったら悔い改めろ。

これ以上のことをしたら本当に殺す。

もしくは殺さない程度に痛めつける。

なんちゃって。



……狂気的な手紙だ。
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