山賊眼鏡餅。
「恐っ。何これ」

山嵐ノゾミが言う。


「でも、これが届いたからウルフが犯人じゃないってわけじゃないでしょ?ウルフが出したんじゃないの?」

私が言うと、沼袋部長は人差し指を立てて、ちっちっちと言った。


「わあ。雀みたいですね」

なぜか目黒さんが食い付いた。

沼袋部長は、それを無視して話を進めた。


「この脅迫状は、ミチコ君がウルフ中川君を山で目撃した日に届いたんだ」


「え。何時頃?」


「うーん。夕方の……5時頃かな」


「私がウルフを見たのは昼過ぎでしたよ。山から移動して沼袋部長のところに脅迫状を出すのって、普通にできますよね」


「いや。できないんだ」

「なんで?」


「その日、僕は遠出していた。出先で脅迫状を受け取ったんだ」


「手渡し!?」


「まさか。気付いたらカバンに入っていたんだ」


「えー」


「お台場の映画館で映画を見ていて、気付いたらカバンに入っていた」


「え……でも、山から3時間もかかりませんよね?山からまっすぐ移動したら2時間以内だよね」


「いや……。それは不可能なんだよ」


「どうして?」

< 165 / 324 >

この作品をシェア

pagetop