山賊眼鏡餅。
「僕は、昼前からお台場に行って、夜まで動き回っていたんだ」


「どんなふうに?」


「ラーメンを食べて、遊園地をぶらぶらして、アクセサリーショップに立ち寄って、ふらりと映画館に寄ったんだ」


デートだ。

私は確信した。


「恐らく、後をつけられていたのだと思う……」


「本当に?」


「ああ。山からいきなり、僕の居場所が映画館だとつきとめて、まっすぐむかってこられるはずがない」


「じゃあ、犯人はオード卵じゃないってこと?」


「その可能性は高い。でも、共犯者がいるという可能性も捨てられない」


「へえ。複雑なんだね」

山嵐ノゾミが言う。


「リス研の人間関係とか、何でも良いから気付いたことを話してくれないか」


沼袋部長が真剣な表情で言うと、山嵐ノゾミは、顔をあからめて、小さく頷いた。
< 166 / 324 >

この作品をシェア

pagetop