山賊眼鏡餅。
「おいしい!」
一口食べて私はそう言った。
プロの味だ。
こんなしょぼくれたゴミババアでも、一つは良いところがあるものだと感心した。
「アネキ、婆は、昔、プロの料理人だったらしいよ」
弟が言う。
「今じゃ、すっかり落ちぶれてしまったがなぁ。ヒヒヒ」
料理は美味しかったが、ある意味、蟻との戦いだった。
ゆっくり食べていると、蟻がどんどん集まってきてしまう。
スパゲティに絡まった蟻を除きながら談笑している時、けたたましい足音がして、とつぜん男が部屋に入ってきた。
灰色のジャンパーに茶色の破れたズボンを履いた男だ。
髪はぼさぼさで、まさにホームレスという外見だった。