山賊眼鏡餅。
勢い良くベッドから起き上がると、私はシャワーを浴びて支度をした。


ジーンズにパーカー。

足元はスニーカーだ。


化粧はきちんとしたが、本気で山登りができる服装を選んだ。


遊びじゃないからだ。


電車に乗り、山をめざす。


山の前に着いた時、時計の針は18時ちょうどを差していた。


まだ明るい。


蝉の声援を浴びながら、私は山を登った。

昼間よりはマシだが、まだ暑い。

汗の雫が、胸の谷間を流れていくのを感じた。


山頂の広場では、今日も若いカップルがベンチでいちゃついている。


いつもの光景だ。


彼らは、屋外だというのに、かなり大胆だ。


私が目の前を歩いているのに、おかまいなしで、いちゃついている。


目を合わせないように注意しながら、私は神社の裏に回った。


茂みの中に入り、しばらく進むと、ハジメの小屋がある。




小屋には、もう新しいドアが取り付けてあった。


かなり粗末な作りで、ベニヤ板に蝶番を取り付けたような、ぺらぺらのドアだった。

無いよりはましだが、しょぼすぎる。


私は、思い切って、ドアをノックした。


そうしたら、ドアはいとも簡単に割れてしまった。


あたりどころが悪かったのかもしれない。
< 201 / 324 >

この作品をシェア

pagetop