山賊眼鏡餅。
だんだん暗くなっていく。

あひるのペスを抱えていると、心細さは軽減されるが、物理的に重たかった。


「ペス、もうすぐ着くからね」


自分を勇気付けるために、ペスに語り掛けながら、山道を歩いた。


あの木箱に平田の服が入っていたということは、平田はあそこにいたのだろう。

木箱に入れられていたかもしれない。


やはり、平田の失踪にはハジメが関わっている可能性が高い。


あのフルフェイスコンバースの正体は、やっぱりハジメなのだろうか。


何のために、あんなことをするのだろう。


「ぐわっ」


ペスが不意に鳴き声をあげた。



進行方向に、何やら動く物がある。


暗くて、シルエットしか見えないが、人影のようだ。

少しずつ私に近づいてきている。


よく見ると頭が不自然に大きい。


フルフェイスのヘルメットだ。


むこうは、まだ私の姿に気付いていないようだ。


私はゆっくり後退りをした。

このまま岩の影に隠れれば、やりすごせるかもしれない。


うまい具合に大きな岩があったので、静かにしゃがんで身を潜めた。


こんな山道で襲われたら、誰も助けにこない。

嫌な汗が出てくる。


フルフェイスはさくさくと山道を登って行く。




私の隠れている岩の前を通り過ぎようとした時、突然ペスがはばたいた。




フルフェイスの動きが止まる。


しばらくがさがさと音をたてながら周りを探っていたが、とうとう岩の上から覗き込んできた。





完全に見つかった。





次の瞬間私は、ペスを手から離し、全力疾走した。


フルフェイスが後ろから追ってくる。
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