山賊眼鏡餅。
「あひるのペスはどうするの?」


「オレ、山には入りたくないんだぁ」


「私だって……」


あんな恐い思いをした山に再び入る勇気は無い。


「ふもとから、ペスを呼ぼう」


ししゃもさんが言った。


「よし、お姉ちゃんもよろしく頼む」


「あっ、はい」


「せぇーのぉーっペスーー!!」


「ペスー!」


5分程呼び掛けていると、登山口から、ペスがひょっこりと出てきた。


意外と良く仕付けられているらしい。


「おお!ペス!!」


ししゃもさんが叫ぶ。


ペスはゆっくりした歩みで、ししゃもさんに近寄って行った。


感動の対面だ。


「お姉ちゃん、あんたはペスの命の恩人だぁ」

ししゃもさんは、そう言いながら、ペスを撫でた。


良いことをすると気持ちが良い。



私は笑顔でししゃもさんと別れた。

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