山賊眼鏡餅。
ハム研の部室に行くと、目黒さんがプロジェクターとスクリーンを用意して、鼻息荒く待っていた。



「平田先輩~!心配したんですよ!」

目黒さんが言う。


平田はいやらしい笑みを浮かべて、顔を赤らめている。


「とりあえず、まずは写真から見ちゃいましょうね」

目黒さんはそう言うと、スクリーンに写真を映し出した。


青い空と青い海。

グアムのきれいな写真だ。

大きなステーキを目の前にポーズを取る目黒さん。


リゾート風の大胆なビキニでポーズを取る目黒さん。


銃をかまえてポーズを取る目黒さん。


もりで魚を捕まえる目黒さん。


蟹を頭に乗せておどけてみせる目黒さん。


なまこを両手に持ち、仁王立ちした目黒さん。


目黒さんのオンパレードだ。


100枚ある写真の9割は目黒さんのワンショットだった。


「兄のお嫁さんが、フリーのカメラマンなんです」


得意げに目黒さんは言った。


平田は水着姿の写真と実物の目黒さんの胸の部分を交互に見て、にたにたしている。


「あ。これがお土産です!今度渡しますね」


スクリーンには、木彫りの海亀が映し出されている。


海亀が鮭をくわえている置物だ。


「へえ」

としか言えなかった。


「写真はここまでです。じゃあ、平田先輩の話を聞きましょう」


海で水着の写真をたくさん撮って、すっかり大胆な性格に生まれ変わった目黒さんは、以前に増して仕切りたがりやさんになっていた。



平田は、道で突然襲われて、気付いたら山にいた話を身振り手振りを交えて詳しく話した。

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