山賊眼鏡餅。
彼氏が出来た。



出会いも、告白も急だった。



私は、まだハジメのことを何も知らない。





「俺のことは、追い追い知っていってね。何か質問はある?」



黒髪の長髪に、変な黒ずくめの服。


鼻筋がきれいに通って整った顔。


美しく鍛えられた体。



「ハジメって、何?」


「何って何?俺は俺だよ」


「職業とか、住んでる場所とか、まだ、私、何も知らない」


「大学生」


「何大?」


「国立大学」


「このへんで国立っていうとどこ?」


「ここからは離れてるけど、埼玉だよ」


「そうなんだ。意外」


「まあね」


「サークルとか部活とかは?」


「山岳部」


「めずらしいね」


「そういえば、ミチコはサークルとか入ってるの?」


「あ、うん」



私は、ハム研の説明をした。

なかなか複雑なサークルなので、説明に時間がかかってしまう。



ハジメは興味深そうに聞いていた。


「あのとき山に登っていたのは、そのハム研のメンバーだったのか」


「そうそう。ハム研の飲み会だったの」


「なんか、わりとルックスの良い男がいなかった?」


「吉川ヨシオかな」


「前半、仲良さそうだったよね」


「後半は置いていかれたけどねー。っていうか、見てたの?」


「夜に団体で山に来るなんてめずらしいからね」


「そっかー」




ハジメと話していると、あっという間に時間が過ぎていった。

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