山賊眼鏡餅。
とりあえず、暗い雰囲気のまま、私たちはケンタッキーフライドチキンを食べた。


平田と目黒さんは、それぞれ鶏一羽くらいの量を食べていたのですごいと思った。


私と真帆は食欲が無かった。


「どこいっちゃったんでしょうねえ」


平田が言う。


「フィリピンに飛んだとか……」

真帆が暗い顔で言う。



「でも、待ってください。ミミさんは小柄な女の子です。吉川ヨシオを人質にして連れて逃げるなんて、無理がありますよう」


「まさか、駈け落ち!?うわぁぁん」


真帆は、また泣きだしてしまった。


「吉川ヨシオ君、行ってみる?」

私が言うと、真帆は首を振った。


「家、行ったことなくて、場所がわからないの……えーん」


「あ!名簿を見てみましょうよ!」


目黒さんが言う。


本棚からファイルを取り出して、得意げに広げる。



「げ……記入漏れです。ヨシオ先輩の住所欄、空欄でした」


真帆は相変わらず泣いている。



「そうだ!」

私は言った。

「ミミさんのこと、オード卵に聞いてみようよ!」



「電話番号、わかるんですか?」

平田が言う。


「山嵐さんに聞いたらわかると思う」


「最後にミミさんと会ったのが多分オードですよね。詳しいこと聞けるかもしれませんね」

平田が言う。


山嵐ノゾミにメールをすると、すぐにオード卵の連絡先を教えてくれた。


「知らない番号だけど、出てくれるかな……」


オード卵の番号を携帯の液晶画面に表示させて、通話ボタンを押す。

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