山賊眼鏡餅。
一時間が経過した。

何も進展がないまま、みんなで座っているのが辛い。

暇を持て余した平田が、得意の三点倒立を始めた時、部室のドアが開いた。


「よっ!」

陽気に室内に入ってきたのは、沼袋部長だった。


顔は絆創膏だらけ、腕には包帯という出で立ちだったが、なんだか元気そうだった。


「わっ。沼袋部長、軽井沢じゃなかったの!?」


私が言うと、沼袋部長はにやりと笑った。


「ミミ君がピンチだと聞いて、飛んできたんだ!」


「どうしてここにみんながいるって分かったの!?」

「どんな時でも、報告・連絡・相談を欠かさないからですよ!ホウレンソウです!」

得意げに目黒さんが言う。

「じゃあ、とりあえず座らせてもらえないか」


沼袋部長は、平田に椅子を出させて、腰掛けた。


「ポカリか何か買ってきてくれないか」


「嫌ですよう」

平田が言う。


「そんなこと言わないでくれよ」


「仕方ないですねえ」


平田はそう言うと、しぶしぶ外に出て行った。
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