山賊眼鏡餅。
「あれ。部長。今朝、召集がかかってから軽井沢を出たにしては早すぎない?」
私は言った。
「いやあ。実は昨日の深夜、ミミ君から直接連絡があってね」
「えー!?」
「ハム研のみんなから、あらぬ疑いをかけられて迷惑しているから、部長から厳しく注意しておいて欲しいと言う連絡だったんだ」
「えー。電話で話したの??」
「そうだ。それで、朝一で軽井沢を出てきたんだが、目黒さんから、ミミ君のことで部室で会議があるって聞いて、直接ここに来たんだ」
「深夜ってことは、いなくなる直前ってことだよね」
「何!?ミミ君、いなくなったのかい!?」
「え!知らなかったの!?」
「そういえば、私、部長に、ミミ助のことで会議があるとしか伝えてませんでした」
目黒さんが言う。
「いなくなったのかあ。大変だな。どうしたものか」
「そうだ!しかも、ウルフ中川さんは見つかったんだよ!」
「ほう。それは良かった。しかし、入れ違いとは……まさか一人二役!?」
「違うと思います」
目黒さんが言う。
「沼袋部長……。吉川ヨシオ君もいなくなっちゃった……えーん」
真帆が泣きながら言う。
「わあ。真帆君、いたのか!びっくりした」
「ひどいよぅ。えーん」
真帆はすっかりテンションが低い。
「真帆君、すまない。困ったなあ。よし、ぷよぷよをやって元気を出すんだ」
沼袋部長は、ポーターのバッグからニンテンドーDSを取り出して真帆に渡した。
それから、さらにもう一つ同じ物を取出し、電源を入れた。
「さあ!対戦をしようじゃないか!こんな時だからこそ!」
「うん……」
驚いたことに、真帆は承諾した。
二人はぷよぷよの対戦を始めてしまった。
目黒さんは、それを羨ましそうに見ていた。