山賊眼鏡餅。
「ちょっと待って!」

私は言った。


「ミチコ先輩、なんですか」


「オード卵の家、どこにあるかわからなくない?」


「そうでした……」


「山嵐さんかウルフさんに聞こう」


「僕に任せてください!」

平田は張り切って携帯電話を取り出した。


平田は、心底、ウルフや山嵐ノゾミと絡むのが嬉しいみたいだ。

含み笑いをしながら電話をしている。



「念のために二人に電話して聞いてみました」


「どこ?」


「大学のすぐ裏です。お弁当屋さんの近くです」


「それは助かるわ」


「ダッシュで行きましょう!」

目黒さんが言う。


私と平田は、その言葉に従い、ダッシュでお弁当屋さんの方向に向かった。



目黒さんがいないことに気付いたのは、お弁当屋さんを過ぎたあたりだった。


目黒さんは、ヒールの靴を履いていて、おまけに、特別足が遅かった。


「きっと、目黒さんは『私のことは気にしないで!先を急いで!』って言いますよ」

と、平田は言って、さらに早く走りだした。


「ちょっと待ってよ!」


平田に置いていかれないように私も全力疾走した。

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