山賊眼鏡餅。
オード卵の家は、小綺麗なアパートだった。


驚いたことに、すぐ裏が、ハジメのいる山だった。

なんだか、それだけで心強かった。


郵便受けを見ると、102号室にオード卵の名前が書いてある。


1階なら、外から部屋の中の様子が見えるかもしれない。


「窓をのぞいてみましょう」

平田が言う。


アパートの裏に回ると、大きな窓があった。


残念ながら雨戸が閉まっている。


「あ。あっちの窓は?」


「中、見られそうですね」

こぶりの窓が、少し高い位置に付いていた。

窓は開いているが、部屋の中は見えない。


「何かに乗ったら見えそうですね」


「どうしよう」


「肩車ですね」


平田はそう言うと、突然私に飛び掛かってきた。


「何すんの!」


平田は私の首にまたがっている。



「さあ!僕を持ち上げてください!」


「無理だよ!重いよ!」


「そんなはずはありません。僕は多少ふくよかに見えるかもしれませんが、小柄なので、意外に軽いんです!」


「何キロよ!」


「言えません」


「とりあえず、全然持ち上がらないってば!」


おかしな態勢のまま言い争っていると、目黒さんがぷらぷり怒りながら追い付いてきた。

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